小さなシグナルを探して
家の近くの桜の木が、姿を消しました。
お寺の境内から白い塀を超えて伸びていた大きな桜で、ちょうど上の娘の通学路沿いにありました。
去年ここに越してきた頃、娘の初登校を見守るように咲いていたのが印象的で、それから葉を繁らせて、冬には葉を落として、という移ろいを季節と共に見てきたのですが、剪定でバッサリと切られてしまったよう。
シンボルツリーのような存在だったのでとても残念です。
塀から飛び出していたので、折れたら危ないとか、そういうことなのかも知れません。仕方の無いことだけど、アスファルトにはらはらと落ちて白く浮かび上がる花びらを、もう見ることができないのかと思うと、やはり淋しい。
身の回りの季節の道しるべを、拾い集めていたのにそれを失って淋しい。
そう思いながら、同じ道を通って、今年度からは下の子が近くの幼稚園に通い始めました。
園庭には大きな梅や桜、イチョウの木が植えられていて、その下には今の季節ドクダミやアジサイ、紫のサルビアが綺麗に咲いています。
木が生い茂っているからか、園に近づくと気温がすっと下がって涼しい風が吹くのが心地いい。
季節の道しるべを新たに得て、心落ち着く感覚です。
子どもと一緒に、小さなシグナルを拾い集めながら、過ごしていくのが楽しみ。